高等内侍

夜鷹と呼ばれて引つぱりを稼ぐ自由売春帰以外に、明治の末年頃から大正年に亙つて、港内船舶乗組の高等船員を顧客とする売春婦が現はれ、戸部界隈、日ノ出町附近は、彼女等に依て構へられ、瀟洒な住宅の分布地であつた。客引き乃至仲介者は、ちやぶや対リキシャマンの関係の如く、多くは辻々に客待ちして居る人力車夫であつた。かくて今猶其数に於ては多くはないが、随所に巣区を構へて、夜の港気分を濃いものにして居るのである。