旅館組合の組織

斯の如き有様の下に、官警の眼は光りつゝも、甚しか弊害をも件はず経過し来り、明治四十年頃、旅人宿組合の一部として特許され、大正に入りて、自然本牧及び大丸谷の地に集合した。而して同十年頃、自衛組合を組織し、今日に至つて居るが、震後の営業振りは、前節に述べた如く、時代の推移は遂に単なる外国人相手に止まらず、邦人を顧客とすることへ転換し、昭和三年、独立したホテル組合の組織が成り、一を山手旅館業組合と称し二を大丸谷旅館組合と呼んで、両者とも更に保健組合を完備し、各々組合事務所を設置して、同業者の繁栄を策すると同時に、自発的に取締りに任じて、横浜に於ける特種なるちやぶや情緒を漲らして居る。