大正期に入つては、散在時代を過ぎて集団制となり、震災後殊に昭和の今日に於ては、其内容も変更し、登場する主要人物たる女性の需給範囲も拡大され時代に眼覚めた結果、其営業策と同時に、彼女等のすべては、革命的な気運に促され、いやが上に発展と全盛とを極めて居るのである。則ち、震災を割期として、過去の所謂ちやぶや女としての彼等自身の眼覚めと、社会相の著しき変異とは、何時迄も外人相手専門の営業にあらざるを観取した営業者と彼女等とは、茲に新方面を日本人側に開拓して、進出に努力する様になつた。本牧・大丸谷の二集団地に介在する外人専門の三四軒を除き、相手方を日本人に求めて断髪の怪洋裝の奇を極度に発褌し、さては縮緬・金紗の軽裝に和服の豪華を見せて、過去の単なる酌婦や遊び相手としての域を脱し、彼等は皆ダンサーとしての教養は勿論、現代知識の富裕なる所持者として、談論の出来る新人も尠くない。かくして尖端味を横溢した歓楽境を描き出して居る。