遊女籍にあるものは、らしやめん女郎として無論異人屋敷に行く事は出来たが、遊女で無いものは、一旦遊女籍に入り、源氏名に改めて異人屋敷行となる規定は、港崎遊廓創始以来の事で、何れも鑑札を附与され、之を所持しないものは、外国人屋敷に出向く事は出来なかつた。されば鑑札は頗る権威あるもので、廓内取締であつた岩亀楼主佐藤佐吉の権限に属し、鑑札料の名義で歩合金一両二分を遊女の格付如何にかゝはらず徴収したのである。此歩合金徴収は、港崎廓時代から関外吉原時代を通じて行はれた。