是に於て、長崎奉行岡部駿河守は両港の奉行と打合せた上、(一)母たる遊女に於て異議なき上は、父たる外人は混血児を故国へ連帰ることを得ること、(二)外人が混血児を長崎へ留置く場合には、母たる遊女が混血児を幼年のうちに貰切りにすることを得ること、(三)若し混血児を母たる遊女が貰切りにする事の談が纏り兼ぬる場合には、混血児を十歳までは日本人として取扱ひ、市街に住居することを得しめ、十歳以上になれば、外国人として取扱ひ、居留地に住居せしむること、即ち三つの取計方を上申して、閣老安藤対馬守の訓令を仰いだ。