廓ぞめき

廓の全盛期は、明治三十年から大正初年に掛けての頃であつた。廓から政治が生れ、商談取引も廓から、さては相場師の豪遊などに、政客、紳商の艶物語は珍しくも無かつた。されば廓ぞめきに素見客、さうした景物の彩りに、時世相は華やかなものであつた。