港崎遊廓では、其創設の初に、廓内へ金刀比羅社と大鷲社とを併祀して、専ら廓内の守護神とし、営業の繁栄を招来するやうにと慾張つた信仰を発した。爾来、此両神は吉原町、高島町、真金町、永楽町の各遊里の各時代を通じて祭祀されたものであり、此神々と遊廓とは離れる事の出来ない囚縁を結んでゐたのである。